地方自治体との裁判にひるむことなく高速輸送の安定供給に驀進するJR東海
JR東海は「災害時の新幹線の安定的な」運行のため、地元の非難も顧みず、新幹線・鳥飼車両基地で地下水を汲み上げる井戸の掘削工事を開始しました。
しかし、同車両基地が存在する大阪府摂津市は、この工事の中止を求める訴えを大阪地方裁判所に起こしました。地方自治体とJRとの、初の訴訟みたいです。
この地元エゴ(とJR東海さんは思っているでしょう)に屈せず、JR東海は裁判を受けて立ちました。
東海道・山陽新幹線の安定運行に非常識に力を入れるJR東海に、私は、脱帽です。
まいりました。
鳥飼車両基地では国鉄時代に、車両の洗浄用に地下水(1日2千トン~2千500トン)を汲み上げていたところ、最大で50センチメートルの地盤沈下が周辺で発生したため、1977年に旧国鉄と摂津市は「環境保全協定」を結び地下水くみ上げを禁止しました。
JR東海にもこの協定は引き継がれましたが、JR東海は、2014年8月に摂津市と協議することもなく、9月30日に井戸の工事を始めました。
同社は、井戸は茨木市内で掘削するので摂津市には無関係とし、「災害時の新幹線の安定的な遂行に必要な水を水道水と地下水の両方から調達できるようにする目的で井戸を掘ることを計画している。震災時には1日も早く国民の足を復旧しなければならないという使命を担っている。そのために水は必要不可欠」と主張しています。
一方 摂津市は、協定は“事業場”が対象で、茨木市内にも適用されると主張しています。
JR東海労働組合新幹線関西地方本部は、「JR東海が車両洗浄などのための水道代は月2000万円かかり、摂津市に払っているのはその3分の1の750万円」であり、社内では「リニア新幹線の開設に向け、経費削減が進められている」と話しているそうです。
低コストで国民に安定した高速輸送サービスを提供しようと努力するJR東海の今回の措置は、多くの皆さんが知って良いことです。
JR東海の「ニュースリリース」ページに本件に関する広報がないのは不思議です。あの会社は、“アカ”に乗っ取られたのでしょうか、心配です。
なお本エントリーに関し、JR東海から金品の提供等は私は受けておりません。念のため。
今頃なぜ紹介するかと言うと、昨年の週刊金曜日をようやく先日 読んだためです。
ご紹介が遅れ、申し訳ありません。
> JR東海のみなさま
地盤沈下も立派な災害だとは、思います。
地盤沈下など環境への影響がないところで井戸を掘削しても、立派だとは思います。
水道料金を負担するため、(きっと私より高給の)社員の皆さんの賃上げを抑えたり、役員報酬をカットしても、とても立派だとは思います。
(参考)
- 「JR東海新幹線鳥飼車両基地井戸掘削問題について」(摂津市)
- 「JR東海と大阪府摂津市が全面対決(上) 新幹線取替車両基地めぐり」(アジアプレス・ネットワーク)
- 「摂津市がJR東海の事業に反対――地方自治体初の提訴」(週刊金曜日)
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